吉川社長の今月の言葉


2010年3月の言葉“料理人の三種の神器”

料理には料理人の歩んできた道が出る。
同じ材料・分量で作っても違う味なるんです。
それを味わっていただくために、料理人は3つのことを大切にしなければあかんのです。

 

よし川 日本料理部門 総料理長 文山正彦

総料理長 文山正彦綺麗な料理やない、美味しい料理をつくらんといかん。

白い大根は切って並べただけでも綺麗です。
でも、しっかり味をしみ込ませた大根は見るからに美味しそうになる。

中学を卒業して今年で33年。日本料理の板場でしか働いたことがない。
下積み時代の苦しい生活の中で、スナックやクラブでのバイトをする人たちもいたが、
自分がけがれてしまうような気がしてできなかった。
面白い人間からは面白い料理が生まれるように、
料理というのは、作る人の全てが出る。
その人が歩んできた道が現れるんですね。
たとえば、ポン酢一つとっても全て同じ材料で同じ分量で作っても違う味になる。
だからこそ、料理人に大切なものは次の3つやと思っています。

日本料理の写真

「経験」

「感性」

「真心」

 

一品料理やお寿司屋さんはお客様が注文したものをお出しする。
でも、ここよし川でお出ししているコース料理は違う。
見えないお客様を想い、歩んできた自分の人生全てをかけて考え、作る。
力を込めすぎると、お客様も肩がこる。
力を抜いて、ゆっくり味わっていただくためには“優しさ”と“強さ”が必要です。
目と香りから入り、食べて味わっていただく。
美味しそうに見える料理は、本当に美味しいんです。

私は寿司職人の家に生まれたが、継ぎたくなかった。
料理人になろうと思ったのは憧れ。京都の街を歩く姿がかっこ良かったんです。
当時テレビドラマでショーケンが演じた「前略おふくろ様」にも影響を受けたのもありますね(笑)。
中学3年生の夏休みから、京都の「つるや」でお世話になった。
その後紹介してもらった先で「この人についていきたい」と思えたおやじ・半田博に出会ったんです。
それはそれは厳しい人やった。その日の天気だけで機嫌が変わる。
でも、その料理のセンスに圧倒されたんです。

お料理の写真その後、修業を続け25歳で初めて料理長となってから
本当に色々な経験をしてきました。
日本料理の素晴らしさは、
他の料理にない「文化」やと思っています。
Yes、Noという白か黒かという欧米にはない、
「かすかな」「ほんのり」「ぼんやり」という文化がある。
あとは食べた人の理解の範疇で変わるんです。
日本人の人間性なんでしょうね。

コース料理にしても、フランス料理のように
前菜から始まって・・・メインがドン!という感じじゃなく、
5品あればお互いがお互いを活かすように作るんです。
コース料理はその人の音符だと思っています。
一つの音楽をどうやって初めて、どう終わらすか。
自分の経験してきたものをどう活かすか?
お皿の上一つとっても一緒です。
食べていただく人の顔が見えるか見えないかによって大きな違いが出ます。

お料理の写真若い人はフランス料理やイタリア料理、
その他いろいろな料理に惹かれると思います。
でも、いずれはみんなが日本料理に帰ってくる。
よし川では婚礼もたくさんあります。
婚礼のお食事風景を見ていて思います。
日本料理は大人から子供まで、誰が食べても美味しい。
いい料理です。
いつも来てくださるお客様のお顔を見ながら、
ほんまにそう思っています。
人としてたくさん経験を積み、感性を磨き、真心を込めて料理を作る。
そんな気持ちで、料理人一同、皆様をお待ちいたしております。

よし川の和食の3月のおすすめメニューは桜懐石です。
一度足をお運びください。
料理人一同、お待ちいたしております。

春の香り豊かに 桜懐石

献立

 

ご予約・お問合わせ

その他、旬のお料理をご用意してお待ちしております。
お気軽にお問合わせください。

よし川の日本料理には「繭の家」もございます。
繭の家は幕末頃に建てられた古い養蚕の家を山梨より移築したものです。また、器や調度品も時を同じように刻んだものを揃えています。
御飯も土間にある「おくど」で薪を用いて炊いております。
木と土という天の恵みだけで造られたこの古い建物で、伝統的なお料理をぜひ召し上がって頂ければとお待ちしております。

繭の家


編集後記

インタビュー当日、最初は河島料理長にお話をお伺いしていました。文山総料理長と出会ったのが21歳ごろ、文山総料理長は厳しく、それまでの自分の甘さを実感したとお話してくださった。「美味しいものを作るということを本当に大切にするという意味を知りました」と。その後、文山総料理長の元での修業は続き、あるとき「明日、パスポートを取ってこい」と言われ、一週間後に韓国に行かれたこともあるそうです。

そんな話の途中、河島料理長は板場から呼ばれ席を立たれ、それと入れ替わりに文山総料理長が来てくださり、「料理しか知らんけどな〜と」楽しそうにお話を始めてくださいました。関西弁のその口調はとても優しく、河島料理長がいう「厳しさ」は奥に秘められています。「料理はその人の歩んだ人生が出る」というお話を聞いて、「文山総料理長だからこそできる料理なんだ」と知り、今度いただくことが俄然、楽しみになりました。

本当にお料理が好きなのがこちらまで伝わってきますし、お話も楽しい。インタビューの途中にお昼のコースを終えた5人組の女性たちが「おいしかったわ。ありがとう!また、次回も楽しみにしてるわ」と帰られると、文山総料理長もそのお見送りの輪の中に加わる。

「おなじみさんはもちろんだけど、初めてのお客様でもご予約の時間や人数などで、どのような場で、どんな料理を出せばいいかがわかるんだよ」と教えてくださった笑顔を拝見すると本当にお料理を愛している様子が伝わってきます。だからこそ私たちは本当に美味しいお料理を食べると幸せな気分になるんですね。

来月、4月はイタリアン、5月は吉川社長の言葉を掲載いたします。お楽しみにお待ちください。

編集:Chikako K.

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