【2010年7月の言葉】


"明日は我が身"

墨絵

何事も人事と思うな

明日は我が身

今まで、この言葉が全く当てはまることが無かったのに、
わが身に降りかかった今、ひしひしと身にしみる。

よし川幸枝

私に何が起こったのか?

社長業を50年やってきて今に至るまで、自分の人格づくり、社長としてふさわしい人間になろうとしてまいりました。一見して○○風と分かる自分像への努力を怠らず過ごしてまいりました。誰もが自分の理想像に向かうために絶えず努力していると思います。
社長らしく、そして従業員にも頼られ尊敬されるような自分でありたいと、全ては努力と勉強の日々だと思っております。
そんな私は、ある事件に巻き込まれました。

6月初旬に東京での仕事のため一泊二日でびっちりスケジュールを入れて東京で過ごしていたのですが、1日目の夕方に名古屋で1時間の予定が入りました。たった1時間でしたが大切な仕事だったので、急いで新幹線に乗ろうと東京駅の改札に駆け付けました。

仕事の時間に間に合う新幹線の発車まであと4分でしたので、「プラットホームにすでに会社の者がおります。中で切符を買いますので通してください」といつものように証明書を頂こうと思いましたら、「ダメです。次に乗ってください」とひっつかんで放り出されました。その日に限ってです。しかし、私は諦めるわけにはいきません。「4分あれば間に合いますので、乗せてください」と何度もお願いしましたが通してくださらないので、職員の方の手を振り払い、証明書がいただけないながらも、なんとかプラットホームまでたどり着いた時、その新幹線は発車してしまいました。

仕方がないと、次の新幹線のグリーン車である9号車に1人ポツンと座ったところへ、車掌さんが来られましたので「切符をください」とお願いしました。そうしたら、「どこから乗ったのか?」と聞かれました。不思議に思いながらも「ここは始発なので、ここ東京からです」と言うと、「いい加減にしろ?どこからだ?新幹線に来るまでの分もちゃんと支払え」と言うのです。

タクシーで東京駅まで来て中央口から入った私は何のことかわからず何度も「ここからですよ」と言ったのですが分かってもらえないので、もしやプラットホームに会社の者が待っているかもしれないと、席を立とうとすると行く手を阻まれ身体をつかまれ、その若い大きな身体の車掌さんともみ合いになりました。

それがあまりに痛く、突然のことだったので何が何だか分からず「誰か、誰か来てください!セクハラです。助けてください」と叫んでいましたら、1人の男性のお客様が入ってこられ、そのすきに新幹線のトイレに逃げ込みました。私がしなければいけないのはまず、遅れてしまう連絡を取ることでした。

ここがポイントでした。

その電話をかけてから、外の様子を見て9号車に戻ると、先ほどの男性が「あなたは吉川さんですよね。テレビで見ていますよ」と声を掛けてくださいました。

しばらくすると、専務車掌さんが来られ謝ってきました。ここがポイントでした。ここですぐに警察に連絡すべきだったのですが、私自身が無知でした。暴行という言葉さえ思いつかずセクハラと言ったぐらいで、そのまま話を続けました。膝まづいて頭を下げられるので、許そうかと思ってしまったのです。

「身分を証明するものはありますか?」と聞かれたのですが、「身分証明になるようなものは先の電車に乗って行った会社の者が持っていますのでありません」と答えてしまいました。実はその時、鞄の中にも新幹線の売り子さんのところにも特集記事の中に私が掲載されているFLASHという雑誌があったのですが、動転していたため全く思い出せませんでした。

会社の者に連絡を取れと言われ電話してみましたが、なかなかつながりません。やっとプラットホームで待ったままだった当社の者とつながったので「証明のために、会社の者がでていますので話してください」と言いましたが、変わろうともしませんでした。そこで、また「切符をください」と申しましたが、「秘書の方がお持ちでしたら無駄ですのでお売りすることはできません」と言われました。

何度お願いしても「もったいないから」と言われ売ってくださいません。そこで、「わたしは名古屋駅で降りたらすぐに迎えの車に乗って行かないといけないので、駅の窓口で清算する時間の方がもったいないのでここでお願いします」と伝えましたがダメでした。

ここでも自分がいかに動転していたかが分かります。その時私の鞄の中には、まとめて購入しているグリーン席の回数券がまだ3枚残っていたのです。それを出せばよかっただけなのです。

その後、その場面をずっと見ていてくださった先ほどの男性が「ひどい目にあったからきっとタダにしてくれるんですよ。切符を売らないなんて珍しいですね」とおっしゃるので、「そうかしら」と話しておりました。

トイレで鏡を見て戻ってきたとき、「腕だけではなくて首筋も赤くなっていたので売り子さんに見てもらおうかしら」と思わずつぶやいたら、その男性が「ほんとだ、それはひどいから、僕は無理だから女性である売り子さんに見てもらうといいね」と言ってくださったので、デッキに出て売り子さんの女性に胸なども赤くなっているのを確認してもらい、念のためにサインを頂きました。

「迎え?違約金?取り調べ?」

そして、浜松あたりまで来た時に車掌さんが「駅に着いたら迎えがきますので」とおっしゃられました。不思議に思いながらも「JRの葛西会長も存じ上げていますので」と申しましたが「それは身分証明にならない」とおっしゃいます。「当然ですね」と私もお返事しました。

そして名古屋駅に止まったとたん車掌さんが耳元で「違約金を取られるかもしれません」とささやきました。「え?」と思ったその時、私は警察官6人ぐらいに取り囲まれ、2人の女性警察官に取り押さえされ、取調室に連行されました。有無を言わさずです。運転手が待っていて1時間のために戻ってきた大切な仕事が待っているのにです。
ここでもまだ、私ははめられたことに気づいていませんでした。

取調室に入れられ、「そんなに急ぐなら5万円出せ」と言われましたので仕事には代えられないと不本意ながらも5万円をお渡ししていると「覚王山の吉川さんじゃないか?何かの間違いじゃないか?」という声が聞こえてきました。それを聞いた警察官は慌てて去って行ってしまいました。「お連れしただけです」という言葉と共に。警察官も私と分かりおかしいと思ったのでしょう。「間違っているから、きちんと調べろ」と言い残して誰一人としていなくなってしまいました。「待ってください!」と叫んだのですが(笑)。

皆さんは覚えていらっしゃいますか?JR福知山線の脱線事故のことを。JRが保身のためについたウソがだんだん白状されていった事件です。大きさは違いますがそれと同じことが私の身に起こったのです。

JR側のいい分はこうです。
浜松あたりで無賃乗車が発覚し、逃げ出そうとするので抑えただけだ。と言うのです。

おわかりでしょうか?
だから私に切符を売らなかったのですね。そこで初めて私ははめられたことに気づきました。私は東京から名古屋まで9号車にデンと座ってきたのです。本当に無賃乗者だとしたらデッキに引っ張り出し、新幹線から降ろさないといけませんよね。無賃乗者はグリーン者で座ってこられるのでしょうかね?後から考えるとおかしいことだらけでしょう?人って騙されているときは気づかないものね。滑稽なほど。

私がすぐに通報し、現行犯で逮捕してもらっていれば・・・

暴力を受けてすぐに私が警察に通報していれば横浜から乗り込んできた警察官に、若い車掌さんは暴行の現行犯として逮捕され、その日のニュースになります。あの不思議な対応はそのニュース性を消すため、事件をすりかえるために仕組まれた巧妙な手口だったのです。

今、膝まづいて謝っておけば暴行事件としてのニュースにはならない、もし民事や刑事訴訟になろうとも1年や2年はかかる。その間にもみ消すことができると・・・。
私の対応は後手後手に回ってしまったんですね。

JRという会社は毎日あれだけの数の新幹線や電車を走らせているので、日々何らかの事件が起こります。事故係がいて知恵を図って現行犯逮捕にならないよう、民事訴訟で時間がかかるように仕向けニュース性を無くし時間というもので押し流せると考えているようですね。私はその手段にはまってしまったんです。

その後、身体のあちこちが真っ赤になってホカホカしてきましたので、病院に電話を掛けまくりました。よくしてくださるお医者様が多数いらっしゃいますが、その時は中京病院の皮膚科の臼田部長がおられ「すぐ来なさい」と診てくださり、裸になって全身の写真を撮ってくださると、下着などで隠れたところまでかすり傷がありました。

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(C)yoshikawa